石けんについて 手作り石けんの作り方

石けんの脂肪酸

脂肪酸の特徴

飽和脂肪酸
  • 常温で固体
  • 炭素鎖に二重結合を持たない
  • 酸化安定性がある
  • 肌への刺激が多い
  • 石けんの固さや泡立ちに関与する
不飽和脂肪酸
  • 常温で液体
  • 炭素鎖に二重、三重結合を持つ
  • 酸化しやすい
  • 肌への有用成分が多い
  • 石けんの固さや泡立ちに関与しない

石けんのおもな脂肪酸

飽和脂肪酸 (炭素数) 肌への影響 性質
オクタン酸 (カプリル酸)(8:0) 皮膚に対して刺激性がある 洗浄性や泡立ちにほとんど関与しない
デカン酸 (カプリン酸)(10:0) 皮膚に対して刺激性がある 洗浄性や泡立ちにほとんど関与しない
ラウリン酸 (12:0) サッパリ感があるので脂性肌の人に向く。
乾燥肌・敏感肌の人には不向き。
ニキビの原因となるアクネ菌の発育を抑制する働きがある。
多量に配合すると肌に対して刺激性がある。
洗浄力はあまりない。
冷水でも泡立ちがよい。酸化されにくい。
硬い石鹸を作る。
ミリスチン酸 (14:0) 刺激が比較的少ないが、多量に入れると肌に刺激になる。 起泡性に優れ、ラウリン酸よりきめ細かく長持ちする泡がある。
温水では洗浄力がある。
ラウリン酸より溶け崩れにくい硬い石鹸を作る。
パルミチン酸 (16:0) 皮脂の中に多く含まれる脂肪で、思春期ではこの割合が高くなる。
洗浄後のツッパリ感やかさつき感は穏やか。
冷水では溶けにくく洗浄力が弱い。
泡立ちは良くないが、泡の持続性は安定している。
硬い石鹸を作る。
ステアリン酸 (18:0) 比較的お肌にマイルド。 冷水では溶けにくく洗浄力が弱い 泡立ちは良くないが、泡の持続性は安定している。
硬い石鹸を作る。
不飽和脂肪酸 (炭素数) 肌への影響 性質
パルミトレイン酸 (16:1) 人の皮脂の中にも10%以上あるといわれているが、加齢と共に減少していく。
老化防止、皮膚組織の再生によい。
不飽和脂肪酸の中では酸化安定が高い。
泡立ち、洗浄力、泡の持続性がよく、石鹸材料としては最も優れているが、この成分が多く含まれているオイルは少ない。
オレイン酸 (18:1) 人の皮脂に近い成分なので肌への刺激が少なく、肌馴染みもよい。しっとり潤う。
皮脂を取り過ぎないため、乾燥肌に適している。
脂性肌にはニキビを作りやすいといわれている。
不飽和脂肪酸の中で酸化安定性が高い。
冷水でもよく溶け洗浄力があるが、泡立ちは悪く溶け崩れしやすい。
リノール酸 (18:2) オレイン酸よりさっぱりしている。 水分を保持する機能があるので、皮膚の乾燥、皮膚老化、角化症などを防ぐ効果がある。
頭皮の湿疹や脱毛、白髪などにも効果がある。
オレイン酸より泡立ちがよいが洗浄力は劣る。
酸化安定性が悪く、痛みやすいので使用量や保管には注意がいる。
ブレンドする油脂で酸化を抑える工夫が必要。
市販の石鹸ではほとんど含まれない。
リノレン酸 (18:3) 湿潤性の皮膚の炎症を抑える。 乾燥肌、ニキビ、アトピー性皮膚炎、抜け毛などの改善が期待できる。
洗い上がりの肌がさっぱり、つるつるになる。
αとγがある。通常、リノレン酸という時はαを指す。
γは別名ビタミンFと呼ばれていて、直接食べ物から摂取することが殆どできない脂肪酸です。
リノール酸同様、非常に酸化されやすいのでブレンドする油脂で酸化を抑える工夫が必要。
市販の石鹸ではほとんど含まれない。
リシノール酸 (18:1) 保湿力が高い。
髪がサラサラになる。
持続性のある細かい泡をたてる。
硬くて溶け崩れが激しい石鹸になる。
酸化しやすく熱安定性に劣る。
ヒマシ油中にのみ存在する特殊な脂肪酸。
イコセン酸 (エイコセン酸)(20:1) 皮膚になじみやすく、保湿効果がある。
飽和脂肪酸 融点 (℃) 肌への適正 冷水での洗浄力 温水洗浄力 起泡力 泡の持続性 出来上がりの硬さ 溶けくずれのなさ 安定性 多く含んでいる油脂類(およその含有量)
オクタン酸(カプリル酸) 16.7 × × × × × × × ココナッツ油(8%) パーム核油(3%)
デカン酸(カプリン酸) 31.0 × × × × × × × ココナッツ油(6.2%) パーム核油(1%)
ラウリン酸 44-46 ココナッツ油(48%) パーム核油(50%)
ミリスチン酸 54.4 ココナッツ油(18%) パーム核油(16%) 豚油(ラード) 乳脂(バター)
パルミチン酸 62.9 蜜蝋(94%) パーム油(40%) 牛脂(28%) ココアバター(26%) 豚油(ラード)
ステアリン酸 69.6 × シアバター(41%) ココアバター(35%) 牛脂(28%)
不飽和脂肪酸 融点 (℃) 肌への適正 冷水での洗浄力 温水洗浄力 起泡力 泡の持続性 出来上がりの硬さ 溶けくずれのなさ 安定性 多く含んでいる油脂類(およその含有量)
パルミトレイン酸 -0.1 マカデミアンナッツ油(22%) ミンク油(17%) 馬油(特に頸部)(14%)
オレイン酸 16.3 × × つばき油(85%) オリーブ油(74%) パーシック油(68%) アーモンド油(66%) アボカド油(65%) キャノーラ油(60%) マカデミアナッツ油(56%) シアバター(47%) パーム油(46%) 牛脂(45%) ヘーゼルナッツ油(42%) ピーナッツ油(41%) ゴマ油(40%) 米ぬか油(39%) 大豆油(28%)
リノール酸 -5.0 × × × 紅花油(74%) ウォールナッツ((72%) 月見草油(71%) ヒマワリ油(70%) グレープシード油(61%) 綿実油(57%) 大豆油(56%) 小麦胚芽油(54%) ゴマ油(46%) ローズヒップ油(44%) ククイナッツ油(42%) ピーナッツ油(37%) 米ぬか油(35%)
リノレン酸 -11 × × × シソ油(エゴマ63%) 亜麻仁油(58%) ローズヒップ油(35%) ククイナッツ油(29%) アブラナ(キャノーラ)油 大豆油
γは月見草油(71%) ボラージ油
リシノール酸 5.5 ヒマシ油(88%)
イコセン酸(エイコセン酸) ホホバオイル(69.4%)

※ アレルギーが比較的でやすいものに、オリーブ油、ココナッツ油、ピーナッツ油、ヘーゼルナッツ油などがある。